2026年1月26日月曜日

電子ドラッグ

調査が示したのは恐ろしい結果でした。

『フランスのマクロン大統領は24日、15歳未満の子どもソーシャルメディア利用禁止法案の審議を加速させ、今年9月の施行を目指すと表明した。』

昨年12月にはオーストラリアが世界で初めて16歳未満のインスタグラムやTikTok、Youtubeといった中毒性の高いプラットフォームを禁止しており、仏会議では法案についての議論が行われている。

マクロン氏は、15歳未満の子どもによるソーシャルメディア利用禁止に加えて、児童・生徒間での携帯電話所持禁止も支持すると述べた。

(ソース AFP通信:)


スマートフォンの発育期にある子供への影響については数多くの書籍が出版されています。有名なところですと、『スマホが学力を破壊する』(集英社新書)、『スマホはどこまで能を壊すか』(朝日新書)の2冊でしょうか。



 iPhoneの発明によって世界を変えたといっても過言ではないスティーブ・ジョブズ。2010年初頭にサンフランシスコで開かれた製品発表会でiPadを初めて紹介し、最大級の賛辞を送った。「インターネットへのアクセスという特別な可能性をもたらす、驚くべき、比類なき存在」であると。

 ただし、自分の子供の使用へは慎重になっていたことも後に有名になりました。ニューヨーク・タイムズ紙の記者が、あるインタビューでジョブズに尋ねています。


「自宅の壁はスクリーンやiPadで埋め尽くされているんでしょう?ディナーに訪れたゲストには、お菓子の代わりにiPadを配るんですか?」

それに対してジョブズは「iPadはそばに置くことすらしない」と答えています。


 テクノロジーが私たちにどのような影響を与えるのか。世界を変えた人物でありながら、自分の子供の使用には慎重になっていたという事実は、研究結果や統計よりも多くのことを物語っているように思えます。なお、スティーブ・ジョブズが極端な例だったわけではなく、ビル・ゲイツも14歳になるまで子供にはスマホを持たせなかったことが明らかになっています。


スマホと学力の恐ろしい相関

 先に挙げた2冊の著者である、東北大学加齢医学研究所教授 川島隆太氏の調査をご紹介します。




 上のグラフは、仙台市立中学校に通う全生徒2万2390名を対象とした学力検査と、生活・学習状況の調査データをもとに作られたものです。

 横軸に携帯・スマホの使用時間をとり、その6つのグループの中で勉強時間ごとに数学の平均点を示したものです。


このグラフからわかることは3つあります。



1.学習時間に成績は比例する

1つめは、それぞれのグループをみて分かる通り、黒→グレー→白と高くなっているとおり、家での勉強時間が長いほど成績がよい、という当たり前の事実です。


2.スマホを使う時間が長ければ長いほど、成績が低くなる

グラフの右にいき使用時間が長いほど、棒グラフが3本とも低くなっています。


3.スマホが学力を壊しているという理由

「家で2時間以上勉強していても、携帯・スマホを3時間以上使ってしまう生徒」は、「家でほとんど勉強しないが(30分未満)、携帯・スマホを使わない生徒」よりも成績が低い。

 この3点目は衝撃的で、一番左の黒いグラフ(スマホを使わないが、勉強もほどんどしていない層)が、一番右のグループ(スマホ4時間以上使用)の中の白いグラフ(勉強2時間以上)を上回っていることが示しています。


 スマホを長時間使用している人は成績が伸びない。と聞けば、勉強時間や睡眠時間を削られるからそうだろうと思うでしょう。しかしこのグラフが示すのは、「スマホを長時間使用している人は例え長時間勉強時間を確保していても成績が伸びない」という恐ろしい事実です。

 ただしこの調査は平成25年のものであり、少しのバイアスがかかっていることも指摘されています。例えば、「携帯・スマホ」としてデータ解析されている(当時はスマホが子供たちへあまり普及していなかった)、単年度の調査であること、当時はゲームはゲーム機で楽しみ、子供がスマホでゲームをすることを前提としていなかったこと、などです。

 その点を踏まえ再度、平成26年度調査から追跡調査がなされています。


 その結果、スマホが原因で、結果的に学力が低下していることが明らかになりました。

 詳細について興味ある方は、ぜひ新書をお読みください。


 そして各国の動きの中で、成長発達のさなかにある子供たちに、ソーシャルメディアの利用を禁止する法案や、スマホの所持禁止を示唆する動きができていることは注目に値します。

 黎明期のSNSは自由や表現といった側面も確かに併せ持っていました。でもお金が承認欲求と絡むことで、その側面は失われてしまったように思います。


 見る人の趣味・趣向を学習され、同じような方向性の動画を次々見せられる。気付けば数時間溶かしてた、なんてもこともだれしも身に覚えがあるのではないでしょうか。かくいう私もウマ娘に課金までしていました。


 今のSNSは自由としての側面というより設計された依存であり、そのアルゴリズムを利用して稼ぐ人たちの狩場になっていうような印象が強いですよね。例えばみなさんも「いまもChatGPT使っている人は時代遅れ!」みたいな動画見たことないでしょうか?

 SNSが悪い、というよりはそこで利用しているアルゴリズムが人の思考の土台を形成してしまうという点が問題になります。極端な話、善悪の基準ですらアルゴリズムの設計によってコントロールすることが可能になってしまいますからね。


 AIも含めてとても便利な世の中になりました。でもその便利なツールのうち、何をどう、何のために使っていくのか。それを考え、行動に移していくのはいつだって自分自身です。

 まだ成長期にあり批判能力が不十分である年齢の子供たちに、アルゴリズムのままに動画を見せたりSNSに依存させてしまうのは怖いことでもあります。


 日本は未だ追従の動きはありませんが、国会の解散も決まり(審査会も影響を受けました)、選挙までの当分はこの国の主体であるご高齢層への配慮が行き届いた政策しかな注力されなさそうです。選挙権がなく政治的には声を上げられない子供たちにこそ、私たち大人が配慮していきたいものです。


 「われわれの子どもや若者の脳は、売り物でも操作されるためのものでもない。米国のプラットフォームにも、中国のアルゴリズムにもだ」


 日本はどうでるか。




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