どんな高校や大学を出ていても、結局行きつくところは、「自分」が社会あるいは人のために、何をどう貢献できるのかというところだと思います。
「グローバルな人材」。コミュニケーション能力と双璧を成して、もはや足元が霞んで見えるくらいに崇高過ぎて、誰も文句が言えない社会が求める人材像です。
ではグローバルな人材ってどういうこと?というと、実際には迷走している人が多いことに気付きます。語学留学という名の弾丸観光ツアーであったり、TOEICやTOEFLスコアだけでそんな人材になった気でいたり。
かく言う私もそんな一人でした。バプテスト派のキリスト教宣教師が100年ほど前に開いた学校で、学長も教授も学生も外国の人がたくさん。そんな環境で国際派気取ってたような感じですが、まぁこれもうハリボテですよね。
そんな中、新たに人生の中でのヒントになるような数日間でした。
2023.2/24から本日3/2まで、ポーランドのラデク先生が福島に滞在していました。今週末に静岡で開催される公認審査会で五段を受審するために来日していたのですが、その前の日程で門馬道場にいらっしゃっていたのです。
正直に申し上げますと、見くびるという言葉が適切かどうかはわかりませんが、心のどこかで「外国人に日本特有の武道精神とか理解できないだろ」と思っていた部分がありました。
世界中で見れば、マウントのステータスのごとく段位を取得し(認める方もどうなのかということはさておき)、私より10近くも若くて段位が一つ二つ上なんてザラにいる世界です。価値観も考え方も、本場である日本のそれとは大きく違うし、その溝が埋まることなんてないだろう。そう思っていました。
須賀川アリーナの使用ができず、天栄村で福島県大会が開催されたときも福島に来られていたとのことですが、そのときは総極真に加盟したばかりとのことで、私たちも深くは知りませんでした。
それから数年間、来日を熱望されていましたがコロナ禍で叶わず、オンライン稽古にも門下生のみんなと一緒に稽古していたのは菜穂子先生のブログでも紹介されていた通りです。今回、万感の思いを込めての来日だったとのこと。
「黒帯で歓迎会ができないだろうか?」
そんな門馬師範の言葉で呼びかけられたラデク先生の歓迎会が、2月26日の
育成クラス後に行われました。
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3月12日に門馬道場の昇段審査が予定されていますが、特に初めての昇段審査を受ける門下生、箭内先輩、鈴木先輩、角田先輩はおそらく不安でいっぱいでしょう。
いろんな意味で、限界と極限の中で自分自身と向き合うので、その辛さはいまさら言うまでもありませんが。それ以上に。自分を支えてくれる仲間とその絆が、昇段の試練を乗り越えさせてくれることに気付ける機会でもあります。
ですが、考えてみてください。
言葉がよく通じない異国の地へ、20時間にも及ぶ時間をかけて渡り、一人きりで見ず知らずの人たちの中へ飛び込み、そして昇段審査を受ける。
よほどの熱意がなければできない、と思いませんか?
言葉の壁も文化の壁もある。それでもそれにかける並々ならぬ思いを感じることができたのは、空手という同じものを追い求めているからこそ、でした。
以前よりも言葉の壁はなくなってきたように思います。おそらく音声の同時翻訳も、AIの技術を通してそう遠くない将来、あまり気にせずにコミュニケーションをとれるようになるでしょう。
そのとき。結局、世界において自分の国の文化であったり、それが育んだ価値観によってもたらされる考えをしっかりと文化圏の違う人にも伝えられることこそが、グローバルな人材となりゆくのでしょう。
日本人空手家を外国人の空手家が尊敬してくれるのは、大石範士や門馬師範のような方でない限り、その人自身ではなく、空手の本場日本という文化、歴史に対しての尊敬です。
本場の日本で修行できるというのは実はとても恵まれた環境なのですが、それを私たちはつい忘れがちです。
ポーランドの空手のテキストを拝見したのですが、外国の方達は、本場ではないからこそ学ぶ姿勢が積極的で、日本人である私自身が驚くほど勉強熱心でした。おそらく、そこらかしこにいる空手をやっている日本人より、よほど空手や武道について詳しいと思います。
そんなラデク先生の姿をみて、自分の矮小な了見を恥じると共に、いろんな気付きをもらうことができました。
ということで!先生本人も観ていただけたとのことで、そろそろ静岡へ向けて立つころでしょうか。
ときどきスマホで自撮りしている姿をみて、何かプレゼントできないかと思っていました。そして、昇段審査の行われる静岡に向かわれる本日、贈らせていただいたものです。みなさんも、ぜひご覧ください。応援コメントも日本語で大事丈夫なので大歓迎です!!
Doktorze RADEK, mamy nadzieję, że miał Pan niezapomniane wrażenia. Z niecierpliwością czekamy na kolejne spotkanie z synem, który będzie startował na Mistrzostwach Świata.
(ラデク先生、思い出の一つになれましたでしょうか?また、世界大会で、出場される息子さんと一緒にお会いできる日を楽しみにしています。)
押忍。
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