現代のヒーローたち
私たちがテレビで見ていた時代のウルトラマンは、気合こそ入れても、しゃべることはありませんでした。でもいまのウルトラマンって(見ていたのはウルトラマンルーブだったか)ふつうに「痛てぇ!」とか言うんですよね。時代も変わったなぁと思います。
最近の特撮ものは、仮面ライダー同士で肉弾戦や銃撃戦を繰り広げていたり、ウルトラマン同士が縦横無尽にやりあって、足元の地方自治体が甚大な損害を受けていたりします。はたから見ている大人からは、どちらがヒーローなのかよくわかりません。
私たちが子供のころは、正義VS悪。それも世界征服という理不尽極まりない悪で、何も考えずにヒーローを「正義の味方」として応援していました。
けれども9.11のテロ以降、「正義と対立するのは悪ではなく、また別の正義である」ということが認識されました。
仮面ライダーも、己の通す正義ゆえに、ライダー同士で衝突したりしているんですね。子供には難しいだろ…と思ってしまいます。
先日、休日に仮面ライダーショーが福島市で開催される情報を見て、息子を連れて行きました。令和初誕生の「仮面ライダーゼロワン」。
人工知能を搭載したロボット「ヒューマギア」が人間を助けて働く世界ですが、滅亡迅雷net.というサイバーテロリストが、プログラムを書き換えて、ヒューマギアに人間を襲わせて滅亡をたくらむ、というストーリーです。非常に今っぽい。
AI
AIは発展途上の分野で、SFなどでもよく取り上げられるテーマです。囲碁のプロ棋士がAIに勝てなくなった、なんてニュースを見れば、「やがてAIに仕事は奪われる」だとか、「はてはAIに人間が統治される」といったような人間を脅かす事態を想像してしまいます。実際はどうなのでしょう?
この本の著者、新井紀子さんは数学者であり、人工知能プロジェクト「ロボットは東大に入れるか」のディレクターです。人工知能の専門家ではありません。
この中で新井さんは、人工知能が現状、コンピュータ上で機能するソフトウェアに過ぎないことに言及しています。ソフトウェアを構成しているのはプログラミング言語で、さらに分解すればそれは論理、確率、統計という数学の言語である、と。
そして、その数学的記述という限界があるゆえに、人工知能は文章を読めないし、理解できないのだということが述べられています。いまの技術ではAIが意思をもって反抗したり、人を排除するようなことはまずなさそうです。
一方で、記憶・計算の正確さ・処理量では、私たちはどうあがいてもAIを含むコンピュータには勝てません。かつて人の仕事だったものの大部分は、機械がこなすような時代になっています。
AIにとってかわられる部分は、必ずあります。だからこれから先、私たちは「AIにできないこと」を磨いていかなければ社会で生き残ることができなくなってしまいます。
いろんなスキルがありますが、AIの台頭は、「どのスキルを選ぶのか」という課題を突き付けたとしても、スキルそのものの意義は否定しないのです。
AIにとってかわられるスキルなのか、そうでないスキルなのか。それを自分で考え、判断して選び、学んで獲得してかなきゃならない。
AIよりも選ばれ続けるために
どのようなスキルを選ぶべきか、という話は置いて、重要なのはその根幹となる部分です。どんなスキルにも使い方があり、それを決定づけるのが「人としての在り方」です。
弁護士という資格を持っていても、お金を出してくれる人にあわせて白にも黒にも変わるのか。自分なりに正しいと思う法の使い方を通すのか。まったく違う姿になりますよね。
スキルを習得するまであきらめない姿勢、常に正しくあろうとする心、人の気持ちを察して思いやることができる。こういったいわゆるヒューマンスキル(対人関係能力)が、AIに対抗する上で絶対に必要になる能力です。
当たり前にできることだろ、と思われがちですが、社会にでるとほんとにとんでもなくこういうことができない人が多いことを思い知ります。もちろん私も含めてですけれども。
これはAIに張り合っていない今でも、ビジネスパーソンであればだれでも職務を遂行する上で求められる普遍的なスキルです。
その中においての他者への思いやりや、あきらめない姿勢などは言うまでもなく、武道教育が担っているのだと思います。
空手のテクニックは時代とともに姿を変えていきますが、空手がもたらしてくれるものの本質は、いつの時代もひとに求められる大事なもので、姿を変えることはありません。
だからもう少し大人になったら、たけるにも話してあげようと思うのです。なぜ空手なのかということ。空手のなにが大切なのかということ。そして、これからも空手を大事にしていってほしい、ということを。
国際空手道連盟 極真会館
(社)世界総極真
NPO法人 極真カラテ 門馬道場
師 範 門馬智幸
指導員 山名愼一郎
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