2020年2月28日金曜日

休みと延期 ー 医療施設からみるコロナ騒動 ー


 先日、門馬師範より新型コロナウィルスとそれを取り巻く社会状況を鑑み、道場の一定期間の稽古休みと各行事の延期決定の通知がありました。



 門下生保護者さんにはすでにご連絡させていただいたところですが、昨日霞町の門下生に
「学校休みになっても、道場やっていたら稽古したい?」と聞いたところ、大多数の門下生が「稽古したい」と答えました。

 その状況を嬉しく思いつつも、師範もそれはわかった上で断腸の思いでの決断であったことと思います。
 稽古したい思いは汲みつつも。
 門下生を預かり、武道教育を掲げる道場としては、門下生の安全を最優先にし、社会の取り組みに積極的に取り組んで貢献する責務があります。なにとぞ、ご理解のほどよろしくお願いいたします。


 さて、普段は空手から離れると医療施設に勤務しています。そして、福島県では感染症指定医療機関に位置づけられています。ために新型コロナに関しては、厚労省や県、自治体と密に連絡調整、会議などを行ってきました。

 しかしSNSなどを眺めると、信頼性の低い情報が飛び交っていて、未だ混迷の中にあるようです。
 医療機関から眺めた新型コロナウィルス騒動について、少しだけ私見を書いて置こうと思います。このような状況、私たちは何に気をつければよいのでしょうか?



■まず議論の場で退場させられるのは陰謀論
 このような不測の事態になると、必ずと言っていいほど陰謀論が登場します。今回は中国の生物兵器が漏洩した、いや外に出したのは習近平の政敵だ、とか、イルミナティカードで予想されていた、といった類のものです。

 このような陰謀論に、バリューは全くありません。

 陰謀論というのは、得てして一国元首のような権力でももっていない限り、反証不可能な命題なのです。

 「政府は検査数を絞って隠蔽している!ウィルスは中国の生物兵器が開発中に漏れたものだ!」
 と言われても一般人たるわれわれは閣議の内容も、中国の軍事機密も知らないので、
 「お、おう‥」
 としか言えません。

 少なくとも、いかにウィルスを抑え込み、重症化を防ぎ、どう治療するか。それが急務となっているこのときに、ウィルスの出どころや出てきた経緯などはどうでもいいのです。
 その責任追及は、現状を安定化させる医療を確立した後の話。いまの段階で真偽のたしかめようのない話を相手にしてみたところで、「時間」という貴重な資源を無駄遣いするだけに過ぎません。


■SNSのごみ
 東京で広報関係の仕事をしていたころ。先輩が購読していた広報業界の雑誌も読ませていただいていました。そこで目についたのが、東日本大震災におけるSNSの効果分析。

 当時はインフラが壊滅する中で大きく機能したSNSの役割が注目されました。そしてその利点も確かに大きかったのですが、欠点も明らかになったのです。

 正義感からどんどん情報を拡散する人が現れ、それによって大きく発生したノイズによって自衛隊による給水情報など、ほんとうに必要な情報が被災者に届かない事例が散見されたのです。RTで応援しようなどといった機運がその最たる例です。
 

 緊急時には、SNSで情報を受けるだけでなく、自ら信頼度の高い情報をとりにいく姿勢をもたなければなりません。



■コロナウィルスより断然恐ろしいのは
 検査数がお隣の韓国に比べてだいぶ少ないことが批判されています。そこに陽性患者数を増やしたくない意図が見え隠れし、政治的判断が全く介入していないとは言い切れません。

 コロナウィルスの判定には、PCR法という手法を用います。これは検体の中の増やしたい遺伝子を増幅させて確認する手法で、結構な手間ひまと技術、それを扱う技術者と時間が必要になります。


(か ぜ)A「咳が出た!コロナかも!」 →病 院
(花粉症)B「息苦しい!コロナかも!」 →病 院
(疲 労)C「体調悪い!コロナかも!」 →病 院

と検査を実施すれば、かなりの医療資源を軽症の人にも割り当てなければなりません。

そして何よりも、陽性だったとしても特に治療法は確立されていないし薬もないのです。
陽性でも大多数が風邪や呼吸器疾患が長引いて治癒していることが報告されています。結果、息苦しい、熱がある、咳があるくらいなら家に帰って出歩かず寝てなさい、となります。

いたずらに陽性判定者を増やしたらどうなるのか。
濃厚接触者の数が増え、不安から病院に押し寄せ、病院はパンクし、やがて医療が崩壊します。韓国の検査数に見れる技術はすごいものですが、その結果、コロナに関係のない患者を受け入れられず死亡に至る例が出ました。このように医療崩壊の兆しがあることも否定できません。

また多くの死者を出した武漢も、当初より適切にトリアージ(優先度による振り分け)ができていれば、防げていた死も相当数あっただろうと言われています。

何か症状があるときは、かかりつけ医に相談を。必要ならば保健所などを介して検査の流れになります。



■不安は効率のいい商売道具
 社会に大きな不安が蔓延し、人々がその真偽を判断できないでいると、それを利用して儲けようという悪質な人たちも一定数出てきます。

 マスクの買い占めから転売で100万以上儲けた、テレビでさんざん政府を批判し、自分のクリニックのコロナ電話相談窓口(有料)に誘導したなど、例を挙げればきりがありません。
 例えば、最近、道場でも力を入れている「Youtube」。その情報の信頼性は発信者に担保されるところが大きいのですが、コロナウィルス、情報、最新で検索したのが下の写真




 再生回数を稼ぐために、みたひとがクリックしたくなるような、不安を煽るような文言になっています。

 それからこういう災害が起こると詐欺被害も多くなります。

・コロナ予防のための助成金が交付される。申し込みには事務手数料が必要。
・○○製薬がコロナのワクチン開発を実現できそうだ。銘柄を買っておけば価格があがる。
・中国の武漢で取り残された遺児のために募金を。

などなど、いろんな形があるでしょうが最終的には「お金だせ」で終わるので、気をつけなければなりません。




■今のA型インフルエンザって実は新型?
 下は、東京都医師会感染症危機管理対策協議会が発行した「都民の皆様へのお願い」というリーフレットです。




 これによれば、
・感染力はインフルエンザと同程度かそれより弱い
・重症度は通常のインフルエンザなどと同程度と予想される
・治療薬はない
・感染しても多くの人は症状が出ないか、少し長めの呼吸器症状で完治すると予想される

 などが、記述されています。
 
 ではそのエビデンスは?と辿ってみましたが、そもそもエビデンスの報告論文は英語です。これでもかという専門用語の羅列に、理系でないと理解できないような化学反応と組成式。

 余談ですが、医学部医学科の生理学初日の授業が話題になっていました。




 投稿者のあざらしさん(@wawawawawa27)は「一日目にして死亡だよ!!ウェーイ!!」としていますが、基礎知識が理解できない我々に最新の研究成果を理解するというのは難しい話です。医師でもない私たちにできるのは、情報の出どころからその確からしさを判断することくらいでしょう。


 このリーフレットの一番下に大事なことが書かれています。2009年に流行して大騒ぎになった「新型インフルエンザ」は、最近流行しているA型インフルエンザの主流です。

 米ハーバード大学公衆衛生大学院のマーク・リプシッチ教授(疫学)が「来年までに、世界の40~70%の人々が、新型コロナウィルスに感染するだろう」と予測して衝撃が走っていました。じつはこれ、先のインフルエンザのように、今でこそ「新型」であるコロナウィルスが、ありふれた疾病・ウィルスになることを予測しての数字だったのですね。


 
■どこの情報が信頼度が高いのか
政府・厚生労働省・国立感染研究所などの公的機関の情報がもっとも信頼できます。
その理由?
与野党とも五輪という、巨大な利権がかかってて、かつ国際情勢で注目されて本気になっているから。



 ということで長くなりそうなのでこれくらいにしておこうと思います。

 自らの感染を顧みず、DMATとしてプリンセス号に入っていった仲間をみてきました。感染症は特に、手を差し伸べる方にもリスクがあります。でもかっこつけてちゃ命は救えない。

 


 医療やWHOのトレードマークになっている杖とヘビは、ギリシア神話に登場する名医アスクレピオスの杖です。でも神話の英雄は、待っているだけでは現れないし、救ってもくれません。いつの時代も、人類が果敢な研究の末に勝ち取ってきたものなのです。多くの犠牲に導かれながら。

 そしていま、世界中の医療者が、自らの命を危険にさらしながらも懸命に治療や研究に取り組んでいます。文字通り日進月歩で新型コロナウィルスに関する知識が、世界で共有され、集積されているのです。


中国の子どもはいま


 そんな医療の最前線で戦う人たちに感謝しながら、せいいっぱいできることからやろうではありませんか!

 「正しく恐れる」というのは、恐れるなかにも正しさを判断する冷静さを忘れるなということ。

そしてそれは。

武士道が死に際しても「冷静であれ」と求めたものでもあったはず。

 みなさんとまた、元気な姿で道場で会えるのを楽しみにしています!

 あ、あしたまで稽古だった






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福島県の極真空手なら!
武道教育を実践する門馬道場へ!

【福島佐倉道場】 火・土 19:00~20:30
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NCVふくしまアリーナ

TEL:0248-42-5335

国際空手道連盟極真会館
世界総極真
NPO法人極真カラテ 門馬道場

師 範 門馬 智幸
指導員 山名慎一郎
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