2020年7月14日火曜日

極真空手の伝統?

 自分の半生を振り返ってみると、初恋なんかはとっくに成仏しているけれど、空手に関する思い出は鮮やかに残っている。


 その中には楽しいこと、嬉しいこともある。そして失敗もあり、寂しい思い出もある。それは続けているいまも同じで、20年を少し越えたけれども未だに慣れないことがある。
 
別れだ。

 Y貴は、自衛隊で福島に配属され、佐倉道場の門を叩いた。防衛大出のエリートでありながら愚直なまでのトレーニングで、スクワットや腕立ての基礎体力はピカイチ。

 けれども基礎体力は基礎であって、空手の体力とは全く異なる。圧倒的に不器用なので
いつか自己完結的な交通事故でも起こし、ささやかな肉片と化すのではないかとか心配もした。そんな私の心配をよそに、訓練などが終わったときには稽古に打ち込み、頑張ってきた。

 そのY貴もとうとう任期が迫り、転勤の辞令が出た。自衛隊ということで、全国規模の異動は免れない。しかるも幹部のエリートだ。いつかくると分かっていたけれども、やっぱり慣れない。

 先日の県北地区の師範稽古の反省会にて、師範には「異動になりまして…」とあいさつをしていた。けれども最後に、師範はじめ諸先輩たちに挨拶を、ということでM尚さんと一緒に矢吹本部の師範稽古に参加することになった。



 自分の道場の門下生が、ちゃんと礼を尽くしてくれるのはうれしい。今日の稽古は、密かにスマホをバッグの外に出しておいた。最後の本部での稽古。集合写真を撮ってあげるためだ。きっと最高の思い出になるだろう!!


 そんな思いはあっさり裏切られ、今月はあと2回とも本部の稽古に出るとのことっだった。最後の有給消化を空手の稽古にあてるというのがY貴らしい。

 福島から矢吹へ、平日に稽古で向かう辛さは分かっている。だから今日は、本部の門下生御用達しの店に連れていくと決めていた(最後だと思っていたから無理もない)。


 朝日ドライブイン。通称、朝ドラ。ボリュームも味も満点で、何を頼んでもはずれたことがない。
 席に着くとY貴は言った。

「秋田には(総極真の)系列道場はないんですよね・・・?」

 いつか言った。離れ離れになっても空手さえ続けていれば、きっとまたどこかで会える。そんな言葉を覚えていたかどうかはわからないけれども、空手を続けたいと思ってくれる気持ちがうれしかった。

「ないものは仕方ない。でも空手は続けなよ。そしたら空手でつながってられるから」

やっぱり慣れないものがある。


「おすすめは唐揚げと肉野菜焼き定食ですけど、なんでも好きなのでいいですよ」

 そういいながらメニューを手渡した。けれどもまったく意味がなかった。2人とも声をそろえて言った。

「おすすめで!」

 逆にうろたえてしまったのが私だ。どうしたものか。おすすめと言われてもひとつに絞れない。冷静に考えるとまだ本部に来ると言っているのだから別の機会もあったろうと思う。
 でも、空手を続けたいと思っている後輩に、何をしてあげられるだろう。そんな思いがあったかはどうかはわかりませんが、答は出ました。

 いつか先輩になるであろうときのために

 極真の伝統も叩き込んでおかなきゃいけない。

 極真空手が最近、大きく変わったことと言えば、女性や子供が多くなったということ。それによって、少なからず変わってきた部分もあります。


 例えば、先日の土曜日。夢をかなえるためにピアノのレッスンが終わってすぐ。土曜日の昼から夜遅くまで、サブとして空手の指導を手伝ってくれたY愛先輩。
 
 もともと土曜の前半クラスから手伝ってくれていたのですが、今回、審査に向けての稽古クラスをやることを伝えるとすぐに「手伝います!」と。お礼に、道場に移動する前、たけるといっしょにご飯に行ったときはこうでした。(参考画像)

サラダ付きパスタとお子様ランチがあるお店

 本人の希望もありパスタがいいということで、なんかちょっとおしゃれな感じのお店。女子高生というと最近の事情は分かりませんが、おしゃれとかファッションも大事な時期だろうと思いますので、たべたいものをおいしく食べれればいいんです。

 それが極真の男同士だとこう

ラーメンと唐揚げ定食(大盛)

 全体が見渡せる代わりに、奥行きがなくなってしまうのが俯瞰という構図の弱点。なので角度を変えてみました。
 それがこちら。

日本昔話を彷彿とさせるどんぶりごはん


 かつて空手の大人3人でびっくりドンキーに行った際には、スペクタクルな注文内容に「ほんとうにいいんですか?」と2回ほど確認されたことがります。


 今回の朝ドラは門馬道場生にも愛用者が多いお店。黒帯のH富先輩のお母さんもいらっしゃったこともあり慣れたもの。平然とラーメンと定食大盛をもってきていただけました。食べれるかどうかよりも、テーブルに乗るかどうかのほうを心配されました。


 話は変わりますが、Youtubeで何をやろうかと考えたときに当然のように腹打ち企画が出てきます。ハーモニカを加えてお腹を突き、吐息で素敵なハーモニーを奏でてしまった方が負け。なんていうのはたくさん動画があるのでやりたくありません。かといって黒帯同士突きあっても終わりが見えない。

 ならばこんな素敵なメニューを完食する、という負荷をかけて腹打ち勝負したらどうだろう!!!地元のお店も紹介できて、コロナ禍の応援になり、空手や門馬道場のPRもできる!!最高だ!!

 というアイデアを思いつきながら完食。



 M尚さんとY貴は少しずつ休憩をはさみながらも何とか完食!


一応、顔を出さないように目線を入れてみたのですが、
なんか心霊写真みたいになったのでやめました。


 いまでこそウェイト制でクラスが分かれていたりしますが、「食べるのも稽古のうち」とは言ったもの。お酒の強要はなかったですが「吐くまで食え!」は日常茶飯事でした。
 強くなるためには奥義や秘伝がごろごろあるわけじゃありません。「たくさん食べて、たくさん練習する」。それだけです。

 極真総本部の若獅子寮(※)でも、毎週金曜日は大山総裁が同席して食事を共にし、そのメニューは必ず「鶏の水炊き」であったことは有名です。そこでも内弟子は「最低、水炊きも麦飯も山盛りでどんぶり3杯ずつ」がノルマだったとか。

 それはさておき、空手という共通の話題があって世代を越えながらこうしてばかできるのもかけがえのない経験だと思います。こういう伝統は極真空手共通。団体も流派も関係なく、押忍の返事をはじめみんなが共有しているもの。そして、こういうことをちゃんと分かっていれば、新しい道場でもしっかり溶け込めるはず。


 だから、次の新しい土地でも空手を頑張ってほしい。そして、たくさん後輩をつくったら。また門馬道場に戻ってきてほしい。

 数年もすれば、みんなばらばらのところにいるかもしれない。福島にいないかもしれないし、先の事は誰にも分らない。

 けれど、ひとつだけ分かっていることがある。

 空手でつながりつづけ、再会できた時には。また空手の話しで盛り上がり、いろんな無茶なこともできていた今日のこの頃に戻ることができる。まるで離れていた時間なんてなかったかのように。


 だから、いつでも帰ってくるのを待っている。

 佐倉道場がある、この門馬道場で。


食事終了後。福島市までの道中の安全(胃袋的な意味で)を祈るY貴

 
(※)全国から入門希望者が殺到する中、内弟子(大山総裁直々の弟子)となって総裁のお世話や本部の労務をしながら空手を学ぶ門下生が寝泊まりしていた寮のこと。相当過酷な修行で3年間の千日修行を終えるころには数人しか残っていなかったとのこと。
 世界総極真の代表である大石範士もこの若獅子寮出身(4期生)です。






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福島県の極真空手なら!
武道教育を実践する門馬道場へ!

【福島佐倉道場】 火・土 19:00~20:30
         土 15:30~17:00
福島市佐倉下上谷地39-1

【福島霞町道場】 木   19:15~20:45
NCVふくしまアリーナ

ほか県内全域に道場あります!!

TEL:0248-42-5335

国際空手道連盟極真会館
世界総極真
NPO法人極真カラテ 門馬道場

師 範 門馬 智幸
指導員 山名慎一郎
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