2020年8月5日水曜日

昇級基準のぶっちゃけ話

 「なぜあの子が受けられてうちの子が受けられないの・・・」
 「あの子が受けるのはまだ早いんじゃないか・・・」
 
 この長年の絶えない疑問にお答えしなければ!

 とか言っておきながら冒頭からまったく話は変わってしまうのですが、飛行機のパイロットを目指すにあたって、2つの大きな関門があることをご存じでしょうか。


一つは、身体検査。かなり厳格で先天的なものも多く、これに敗れる人も多い。そしてもう一つが、操縦適正試験です。

 一度、この適正試験に不合格になると以降、受験資格がなくなるという特殊な試験。どんなものかといいますと、私が受けた全日空では、こんな感じでした。


 フライトシミュレーターで上下左右に流されるマークを操縦桿で常にセンターをあわせ続ける。その中には突風のように急に強く流されたり、エアポケットで急に下降してしまうような状況もありました。
 その中、突如計算問題が表示され、それを暗算して答えます。その間も、常に目標はセンター。急に風に流され、計算問題が表示され、その中でトランプのマークが一つ画面を流れていく。シミュレータ終了後に、何のマークが何色で流れたのかを回答して終了。

 そしてこの試験のキモは、これを2回繰り返すということです。



 何を評価されているのかというと、プログレス(進歩率)。そこらへんのド素人大学生が操縦桿のコントローラーを握ってもたかが知れたもの。そして審査するのは現役の機長(キャプテン)2人でした。最初から操縦のうまさなんて期待されていないわけです。

 1回目のグループでのシミュレーターが終わり、昼食・休憩をはさんで2回目。昼食中は、審査するキャプテンたちとの懇談会を兼ねています。そのときに色んなアドバイスを聞き出して、どれだけ1回目より上達したのかが、試験のポイントでした。



 例えば、とある人が高いレベルで操作していたが、2回目は何の変化もなかった。一方、もう一人の人は技術はそこまでないけれども、2回目で要領を得て著しく上手くなった。

 「長期に渡る高価な航空機操縦訓練のプログラムを、確実に期限内で達成できてライセンスを取得できる人物は?」となると後者になるわけで、数億というお金がかかる教育には欠かせない選考となっているのです。  


 こういった評価を絶対評価といいます。個人の中で、絶対的な目標を定め、それをクリアできるかどうかを見る。英検やTOEICが代表的ですが、〇点とれば〇級合格!なんていうように、他の人の点数はどうでもよくって、自分が何点取れたかだけが評価されます。

 対して公務員試験のようなものは、採用試験の上位〇名を採用候補者名簿に記載することで、合格となります。これは他者と比べてどうなのか、という相対評価といいます。基準は、他の人たちの獲得点数によって流動的になり、絶対的な基準はありません。



 先日、8月2日(日)に、県北地区の昇級審査会が開催されました。反省点は多々あります。その点を含め、昨日の道場稽古では門下生に時間をとって、話をしました。


 「審査の推薦を決めるとき、何と比べてみんなを推薦してると思う?」

 冒頭の問いかけ。すこし不安混じりで聞いたのですが、答えを聞いて安心しました。

 「前の自分」と少年部のみんなが答えてくれたからです。



 ブログでも書きながら、訓話でも繰り返し伝えてきました。

 「審査を受けるとき、比べるべきは他の人ではなく過去の自分」

 それは、3か月後の自分がいまの自分より、どれだけ頑張ったか、上達したか、強くなったのか。空手の昇級基準は、個人ごとに基準のある絶対評価で、他人の水準は関係がありません。


 
 もし、相対評価ならば強い人から審査を受けることになります。そうなると、体の弱い子、組手が苦手な子、極端な話、何か障碍をもっていれば審査を受けれることはないということになります。

 教育の過程において、「目標を与える」ということがいかに重要かは、いまさら詳細に書くまでもありません。

 空手をはじめる子のほとんどが、強くなりたいと願ってはじめます。だから最初は弱い、強くないのが当たり前。そんな中、強い人から昇級できるよ。なんていう修行の中に、目標を持てるでしょうか。私なら難しい。

 目標をもてないなか、達成するための努力、その過程の中で、あきらめず、挫折を乗り越える強い心。そんな生きていくための強さを、子供たちに育んであげることができるでしょうか。

 できるはずがないと、私は思う。


 なので空手修行の中で、一番の目標となる帯は絶対評価で、個人の努力に応じて昇級していきます。ただし、極真空手。強さが絶対的に必要なのは変わらない。だから緑帯以上や黒帯の審査となると、また事情は変わってきます。そこでは絶対的な強さも必要。

 だから、指導員がいるのです。個人の努力に応じて帯を引き上げていく過程で。やがて訪れる連続組手や昇段審査を乗り越えられる心技体を育むために。


 審査会の度に、どこの地区ででも聞く話です。もはや風物詩といってもいい。

 「なぜあの子が受けられてうちの子が受けられないの・・・」
 「あの子が受けるのはまだ早いんじゃないか・・・」


 そんな声が出てくるのも無理からぬこと。指導員が絶対評価しているものを、相対評価の目でみているのですから。理解に苦しむ点が出てくるのは当たり前ですし、それに何の意味があるのか私にはわかりません。それほど無意味なものもないと思うからです。



 でも、子供たちは分ってます。稽古をして、訓話をする。その結果、ちゃんと伝わってわかっているんです。
 比べるべきは過去の自分であり、他の人と比べでも意味がない。それが最も大事だということを。



 私も人に言えないような恥ずかしい失敗もしました。やり直せるものならやりなおしたい。無かったことにしたい。でもどうしようもありません。

 私たちは、過去を変えることはできません。生きている限り、自分は自分だし、変えられない過去を後悔ごと背負ってかなきゃいけない。
 だから大事なんだ。いずれ背負うことになる、この「いま」をどう生きていくのかが。


 目の前にやるべき、挑戦すべき目標や課題があれば、迷わず全力で挑戦してください。

 いつかあなたが過去として背負ったとき、それが後悔としてでなく。自信となって背負っていけるように。






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