2021年9月10日金曜日

大会中止に寄せて

  令和3年9月9日。福島県まん延防止等重点措置等の期間が、福島市、郡山市、いわき市で9月30日まで延長されることが決定しました。

 それを受け、9月26日に予定していた第16全福島空手道選手権大会の中止が決定しました。

 まず、このコロナ禍の中、門下生たちの大きな目標、モチベーションの源になる大会をなんとか開催しようと尽力してくださった門馬師範、並びに事務局の先生方。また、このような状況にも関わらず、協賛協力いただいた皆様、大会スタッフとして協力いただいていた保護者の皆様に厚く御礼申し上げます。

 いろいろな思いがありますが、以下、徒然に。


 多くの感染者と犠牲者を生み出している新型コロナ。その引き起こす症状はWHOによってCOVID-19と名付けられました。Coがコロナ、VIはウィルス、DはDisease、19は発生が確認された2019年を意味します。病院では嫌というほど目にしてきたこの名称ですが、2年たった今も収束していないことになります。


 その経過が示すように、道場内の行事も2年間縮小されてきました。県大会、チャレンジカップ、合宿。主要な行事が、どれも2年間、中止から縮小で行われています。特にチャレンジカップについては、数々のドラマを生み出してきた団体戦の感動を、門下生はもとより道場の保護者さんにも味合わせてあげられないことが、残念でなりません。

 そして今回、年間で最大の行事である県大会の中止が決定となりました。


 感染の状況が芳しくない県北地区においては、近隣道場との行き来が多く、特に佐倉道場は40名以上の門下生が集まることが多いため、稽古回数を制限してきました。その中において、どう大会を目指すか。補強や追い込みで、週2回という少ない稽古の中でもなんとか効果を。そんな思いの最中での決定でした。残念に思った門下生も多いと思いますが、いつまでも下ばかり向いているわけにもいきません。

 これを言うと各方面からお叱りを受けるかもしれませんが、こういうときだからこそあえて書こうと思います。県大会が中止になってしまったことは残念ですが、それは極真空手の、そして門馬道場が目指す空手の在り方からすれば、致命的な問題でも何でもありません。


 試合は、その昔は死合。その後、空手発祥の沖縄では”掛け試し”なんていう野試合もあったようですが、今では文字通り試し合い。普段の稽古の成果を、互いに試し合う機会です。それによって自分の変化や修行の度合いを実感してモチベーションにつなげたりするわけですが、総極真の代表である大石範士や、門馬師範が仰られるよう「道場での稽古が最前線」であり、あくまでも空手の本体はそこにあります。

 その成果をみるためのものが試合。だから、普段の稽古の延長戦上に大会というものがあるのだと思っています。


 大会が近づくと組手やスタミナのための追い込みの稽古が多くなりますが、本来ならば大会があってもなくても道場の稽古でやることは変わらないはずなのです。もちろん、福島県大会という自分たちの道場主催でみんなで挑戦!となれば、なんとか一回でも勝たせてあげたくなるのが人情ですが(^^;)


 喧嘩が強くなりたい、なんていう単純な動機で入門した私ですが、道場での稽古をしてすぐにそんなチンケな動機は吹き飛んでしまいました。茶帯の先輩たちは鬼のように強くて「同じ人間なのかな?」って思ったほどですが、さらにその上の黒帯の先輩たちがとても強くて、優しく、かっこよくて憧れた。そのときに、自分の目標は「極真の黒帯をとる」ということに変わりました。

 言ってみれば単純な目標ではあるのですが、「黒帯になる」という目標を実現するために、普段の稽古や出稽古、遠征大会、合同練習、合宿などなど、いろんなことに挑戦しました。今ではまた新たな自分の目標に向かって、少しずつではありますが、歩みを進めている状態です。


 我が国の長い歴史の中で、GHQの政策により武道禁止令なるものもあり、武道は何度かの断絶を経てもなお、いまの日本に根付いています。大会が1回や2回中止になったくらいでその「道」が閉ざされてしまうほど、浅はかなものではありません。


 「あきらめない心」が門馬道場の理念であり、それを育むためには、このような逆境はむしろ望むところ。だから、今回の中止という決断にいつまでも引きずられているわけにはいきません。

 中止という決断になってしまいましたが、断腸の思いの決断、とあるように、苦渋の末での選択。だいじょうぶ、必ずまた師範はじめ職員の先生方は、よりレベルの高い有意義な大会を開催してくれるはずです。また、代わる取り組みも改めてご報告させていただくかと思います。

 だからそのときまで。

 すべきことは、嘆いてモチベーションを下げることではなく、大会がない今だからこそやれること、いまだからこそやるべきことを道場で続けていくこと。指導員としては、それを見つけ、全力で取り組み、一人ひとりの成長をサポートしていく所存です。


 どうか。

 コロナ禍で「正解」が見えないいまだからこそ。こんな暗中模索の中でも、安心して信頼することができる「確たる自分」を育てるため。引き続き、道場の理念と取り組みに変わりぬご理解、ご協力のほどよろしくお願いいたします。


押忍

山名愼一郎

 

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