2022年5月9日月曜日

黒帯を受けるための条件

 年度末・新年度と経理的に怒涛の時期がきて、気が付けば5月になっていました。
 荷物を整理にて、会員カードをパスケースに移そうと日付をみたら、門馬道場に入門して来月1日でちょうど8年になることに気付きました。





 空手で色んなものが変わる人は何人もみてきて自分もその中の一人でしたが、門馬道場で過ごしたこの期間で、さらに価値観・考え方も変容しました。人生が変わった、というと大げさに聞こえるかもしれませんが、生き方が変わるというのは、すなわちそういうことなのだと思います。


 8年間、佐倉道場に関わってきて黒帯になったのは現在(もう一人、黒帯が誕生するかもしれませんが)齋藤香代先生のみです。その香代先生も近くで見ていて、空手で生き方、人生が変わった側の人だと思います。いや、言い換えれば人生を変えるほど打ち込まないと黒帯にはなれないと言うべきか。

 「極真の黒帯」と言えば、門下生でも震え上がる昇段審査を乗り越えて師範から允許(いんきょ)されるもので、そうそう取得することはできませんでした。1000人に1人という割合は決して誇張ではなかったのです。

 私たちの道場は、黒帯の取得に信念とこだわりをもっているので、今までの累計入門者数から黒帯取得者をみると、やはりそれに近い数字なのだそうです。


 数字だけでみればほとんどの門下生が黒帯取得する前に空手から離れてしまいます。が、逆に黒帯を取得している先生たちを見ていると、「黒帯になる!」なんていう目標をもった人はいませんでした。
 私も同じで「なりたいな」という憧れはあったのですが、「黒帯になる」なんてあまりに無謀過ぎてそんな目標もてなかったというのが実際です。そもそも黒帯うんぬんの前に茶帯の先輩たちが恐ろしかったですし笑 いや、笑って書いてますが当時は道場で転げまわってた記憶が…orz


 いま、指導する側となり日々勉強させてもらうなかで、どうやったら黒帯になるまで育てられるのか。答えにはまったくたどりつけていませんが、それでも一つ分かったことがあります。

 「黒帯になりたい!」と強く願う人よりも、「この先輩に黒帯になってほしい!」と望まれる人が、昇段の域に入るのだということです。


 よく「武道は人格の完成を目指す道」と言われますが、じゃあ完成された人格って何なのでしょう。優しいことなのか、強いことなのか、大切なものを守るためには非情にもなれる人なのか。強いって何?と聞かれても答えに窮するくらいなので、人格の完成って?と聞かれても、答えられないことを知ります。


 いろんな要素があるんでしょう。強さに裏打ちされた自信があって。だから他人に優しくできて。ときに自分を犠牲にしても他人のために本気になれる。
 結局、完成された人格ってのは自分で決めるものではなく、その人の生き方が周りから信頼されたときにはじめて実現されるものなのです。


 極真空手の創始者 大山倍達総裁の有名な講和があります。総本部合宿での館長講和から少し引用します。(記事末に動画リンクを貼っておきます)

肩がぶつかった、靴を踏んだ。そうしたら君たちが頭を下げればいいよ。頭を下げて喧嘩を売ってくる人はいないよ。それでも喧嘩を売ってくるならその時はのばしてしまえ。何のために空手を習ってるんだ。喧嘩できないようなら空手なんてやめてしまえ。そんな空手習っていても意味がないよ。


 少し前の時代の話ではありますが、ともすれば喧嘩を推奨しているようにも聞こえます。

 肩がぶつかった、靴を踏んだ。こんなものどっちが悪いでもなく双方の不注意でしかありません。

 でもまず頭を下げろと教えています。まず頭を下げればいい。それで解決するならば、それでいいのです。それでも喧嘩を売ってくるならのばしてしまえ。

 つまりまず頭を下げるというのは卑屈になれとか相手に媚びろというのではなく、いざとなれば相手をのばせる強さをもって、自ら頭を下げればいいとおっしゃっているわけです。そのためには強さに裏打ちされた心の余裕が必要で、極真空手はその強さをもった空手であると。 


 忙しければ苛立つし、お金がなければ心が荒ぶ。どんな状態であってもその人の振る舞いを周囲の人は受け取って、その積み重ねが信頼や人格の完成につながっていきます。

 

 頭は低く、目は高く

 口慎んで、心広く

 孝を原点として他を益す


 この極真精神が心に刻まれ、それが行動、所作として発露して、周囲から信頼される人物になれたとき。はじめて昇段、黒帯への挑戦という機会が回ってくるのだと解釈しています。

 じゃあそれを踏まえてどうやって指導していくの?と考えると、いつもの袋小路で悩むところなのですが笑 私自身もまた門下生であり未熟なので考え、悩み、稽古しながらもがいて進んでいこうと思います。

 8年の歳月の経過に、覚書きとして。



極真空手 大山倍達館長講話







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【福島佐倉道場】 火・土 19:00~20:30
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