2022年8月16日火曜日

神奈川県大会のふんわりした報告

「押忍、手を使えないので、肘で行きます」

試合直前、セコンドにつくまえ、彼女が言ったことばがそれでした。

医療施設勤務ということで長らく遠征に行けないでいましたが、神奈川県大会で久しぶりに門下生が頑張る姿をみることができました。


2022.8.6(Sat)神奈川県大会


冒頭のことばは鈴木唯愛先輩の言葉でした。一回戦が終わり、惜敗したものの3位決定戦に臨むとき。左手の指が腫れてしまい、握ることができない。テーピングでがちがちに固めていた状態でした。

セコンドについたものの、言える言葉も限られます。左手は握ることすらままならない。その手で「突け!」とも言えない。相手に悟られたくもない。何より、拳が握れないなら肘で、そんな気持ちで向かう選手にうしろむきな言葉もかけたくない。

結果、惜しくも負けてしまいましたが。

後日、病院で検査をしてもらい、骨折していたと報告がありました。送られてきたレントゲン写真を見ると、左手人差し指の中指骨が骨折。

「中指骨骨折か…」と返信すると「人差し指です!」と返ってきたのには少し和みました笑


さて、結果だけ見れば、型は女子一般部上級で見事優勝しましたが、組手では敗退。それ以上でも以下でもありません。

けれども、その結果の裏には選手ひとりひとりの葛藤があります。


K-1にせよ、RIZINにせよ、プロの選手はもちろん強い。けれども、空手家のそれとはまた違った強さです。体、つまり足や拳はプロ格闘家にとっては商売道具。それが傷ついたとなると無理はしません。
けれど私たちはプロ格闘家ではなく、あくまで空手家、武道家です。指が腫れて動かすことも曲げることもできない。骨折も当然、考慮しなければならない状況下において、それでも試合に臨むことをあきらめない。それも紛れもない強さの一つです。


ケガを負っていて、あるいは大きな実力差で絶対に勝てない。そんな状況下でも、空手家の看板だけは下ろせない。絶対勝てない相手の前でこそ、その真価がでるものなのでしょう。
その姿をみて思い出したのは、幼いときの自分の試合でした。

試合で転倒時に足を捻ってしまい、引きずることしかできないまま出たその次の試合。負けてしまったその足でセコンドで見守ってくれていた先生に報告に行ったことがありました。

「足がほとんど使えず負けてしまいました」みたいなことを報告したと思います。まぁあれです。ケガを理由にしたいいわけですね。その時に先生から言われました。


「手がだめならば足で、足もだめなら噛みついてでも相手に向かっていけ。それが真剣勝負ってもんだ。試合には負けてもいいけど自分に負けたら空手家はだめだ」


中学生で甘々だった自分が、負けたこと以上に落ち込んだ瞬間でした。でもどうでしょう。こうして、世代も地域も離れた福島で、門下生がこうして頑張っている姿をみていると、何か一つでも極真の精神を伝えることができたかな、と自分の中ではやっていることの意義を感じることができた一場面でした。

極真空手の試合では、骨折したまま戦い抜く、なんていうことは割と聞くし、多くの人が経験していることかもしれません。でも実際にそれをできる精神力を持った人がどれくらいいるでしょうか。

試合である以上、常に勝ち負けはつきまといます。けれども、大事なのはそれが勝ちであれ、負けであれ、今後の自分にどう生かすことができるのか。勝って驕らず、負けて腐らずという道場でもよく耳や目にする言葉は、まさにそれを表しているように思います。


骨折したという報告に、「じゃあ腹筋やスクワットは大丈夫だろうから、握らないでやれる腕立て伏せやろう」という言葉にも「押忍!」という返事をくれ、そのあとの稽古にも参加していた唯愛先輩。

色帯では奇数級には銀線が入りますが、黒帯では金線。これは筋金入りの証。香代先生も手の筋を切って試合やりきっていましたが、筋金の入った門下生が育ってきたことに大きなやりがいを感じることができた大会でした。


また、一般女子上級型の部、決勝戦も鈴木唯愛先輩対齋藤実桜先輩の佐倉道場同士の決勝戦となりました。はたから見れば華やかな決勝戦だったと思われるかもしれません。

しかしその決勝戦の裏にも、部活や勉強、空手と悩んだ実桜先輩の葛藤がありました。結果、組手も型も入賞ということでしたが、その結果以上に、葛藤を超えて臨んだ結果だということを嬉しく思いました。

こうしてみると、大会結果はいわば文字列、テキストデータに過ぎないのですが、そこに臨むまでの姿をみていると、ひとりひとりの物語、ドラマがあることがわかります。

当然、結果いかんの前に、門下生一人ひとりに伝えたいことばがあるわけです。

審判に入っていると、基本的にコートから離れることができません。また当然、試合中はコートの試合に集中しなければならないので、大会で応援できる試合も観れる試合もごくごくわずかです。それでも、それまでの稽古の様子や取り組み、結果を聞いてひとりひとりにかけたい言葉があります。

それは1対1でしか言えない言葉なのですが…。。

試合の結果なんて、長い武道修行人生の中で見れば取るに足らないものです。その中で、優勝したならば、初戦で敗退したならば、都度、それをどう今後に生かしていくか。そこに大会参加の価値があります。

これからは県大会に向けて頑張っていく時期ですが、どうぞ保護者のみなさまも暖かい目で門下生を見守り、背中を押してあげてください。それはどんな結果であれ、今後の空手人生、ひいては生きていくための強さに繋がると確信しています。なので、どうかよろしくお願いいたします。

このような災禍の中、神奈川に出場した門下生のみなさん、そして送迎でご協力いただいた保護者のみなさま、貴重な機会をありがとうございました。




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