窮地に陥ったときこそ、人の本性も出るし、つくろったものは剥がれる。だからこそ、そんなときに真価が問われるんでしょう。でも思う。そんなに窮地に陥るような機会ってあるんでしょうか?
と思ったらきのう、ありました。
ご存じの通り、ある意味で道場内では県内一と自負するくらい公共交通機関に通暁しています。火曜日は佐倉道場での稽古が7時から。職場の定時が5時ですが、経理なので5時+αの業務が終わってから締め作業に入ります。
ということで当番月には6時過ぎまでの残業を余儀なくされるのですが、公共交通機関依存者としては割と致命的です。
職場から福島駅までのバスが、夕方は約20分。そして福島駅から道場方面に向かうバスの本数がまた結構な制限があります。
まだ公共交通機関の使いこなしが未熟なときは、タクシーに頼っていましたが、そんな富豪見たいな通いが続けられようはずもありません。ということで、現在は当番月には極力6時にはダッシュで退社、絶妙な時間のバスに乗り、福島駅に向かわず大原総合病院前とか、その一つ前とかで降りて県庁通りへ向かい、そこで乗り継ぐ。これでタクシーを使わなくとも道場へ向かえるルートが確保されるようになりました。そこで起きてしまったのです。
6時で速攻帰宅をキメるのには、事前に帰る準備含めて、身支度整えた上でシステムの集計作業をしなければなりません。その際は空手のバッグも携えているのですが、もはや私の空手バッグは速攻帰宅のシンボルと化しているので、あまり気にしません。
きのうはジュニアスパークラスの際に空手バッグを置いていたので身軽でしたが、それでも数分ずれると道場に時間内に到着できないので、万全を期して作業して、無事バスに乗ることができました。ですがこのときに、既に窮地のフラグ発生していたことに、私は気づいていませんでした。
県庁付近までは通勤定期で構わないのですが、県庁から佐倉道場付近までは定期のきかない自費。で、気付いたんです。
「小銭がない」
財布の中には、Suica残高数千円、クレカ、五千円札、わずかの小銭。対してバス代は470円。現金的にはオーバーキルの様相ですが…。
当然に両替えして支払わなければなりません。福島交通のバスって、Suicaは使用できず、定期券ICカードの「ノルカ」もどこで現金チャージできるのか不明で割りと決済に不自由するんです。というわけで五千円を両替えして支払う算段でした。
バスが赤信号になったところで運転手さんに「五千円両替えしてもらえますか?」「できません」
という即終了な応答で、支払いができないことが確定しました。ある意味、現金たくさんもっての無賃乗車です。でも思うんですよ。サービス業であまりにも不親切じゃないかと。
両替え機はバスについているのですが、紙幣対応は千円札のみ。Suicaも使えない。でもこれは設備投資になるわけで、簡単に行かない事情もあるのでしょう。
けれどそれをカバーするための両替え分、千円にしか対応していないのだから千円札くらいは両替え用にもっておいて欲しい。それすらしないのならば、乗り口のほうに、「Suica決済×、クレジット×、千円札以外の紙幣両替え×」とでも表示しておいてもらいたいものです。
また福島交通の場合は、「お釣りを出す」という機能が備わっていません。もし多く支払ってしまったときは、運転手さんが、乗車のお金として使える10円券を金額分くれます。一度、20数枚もらったことがありました。
もしくは五千円札を入れて、10円券を453枚頂くという選択肢が脳裏をよぎったもののそんな時間はないと払拭し、アメックスカードに火を噴かせようかと思いましたが、バスの乗車賃でカード決済などできるはずもありません。
もう、開き直って「現金ありません」というしかない。
五千円札両替えできないか聞いて断られたからどうしようもないもん。そう思って乗ってたんです。走行中のバスの窓から飛び降りるのも怪我しそうですし、そりゃあ乗っておくしかないし、見ず知らずの土地におりても途方に暮れる未来しかないので、目的地までできるのは鎮座のみ。
だから、このとき私は窮地でもなんでもありませんでした。むしろ環境整備を整えて、どんな形の現金でお回収してやろう、くらいの気概が足りない。そう思ってたんです。ところが事件は、私が降りる一つ前のバス停で起こってしまいました。
ボタンを押して支払いに来た女子大生?くらいの方。多分、バスに乗ったことがなかったんですね。整理券を入れると金額が表示されると説明されて、整理券を入れます。表示される運賃。訪れる沈黙。
「すみません、お金がありません」
おいーっっ!!!!!!それ、次に私が言うやつ!!しかも次のバス停で!!!
なんか次の停留所でやったら模倣犯Xみたいになってしまうじゃないか!!
さすがにちょっとこの展開は予想していなくてうろたえました。さすがにきまずいよ。しかもこちらはいいとしした大人です。
「お金全くないの?」
「じゃあ払えるだけ払って。のこりは次回乗車のときに」
なんてハートフルな会話で、現存する小銭を全て投入する女子大生。それを生暖かい目で見守る運転手さん。それを見て、次の停留所で同じセリフをリピートしなければならない私。
さて、どうやって切り抜けたでしょうか?
答え
切り抜けることができなかった。錬金術師とかだったら470円をその場で鋳造したでしょうし、サイババのような魔法の粉を生み出せるならそれすらも辞さなかったと思いますが、あいにくそんな能力は備わっていません。
どうすることもできず、頭を下げていった女子大生を下ろして走り出した直後に降車ボタンを押し、「お金がありません、すみません!」と頭を下げたのち、速やかに現存する小銭を全て投入。苦笑いするしかない運転手さんを見送って道場に向かったのでした。
ということで。道場にある自販機も交通系ICが使えなく、千円札までしか対応していないため、きのうの稽古は水分をとることができないままスパーリングまでぶっ通すこととなったのでした。
窮地でこそ、真価が問われる。
意外とそんな機会は多いのかもしれませんね。帰りにバスセンターで差額払ってかなきゃな。
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