2022年10月5日水曜日

体罰について その是非とか

 姫路女学院高校のソフトボール部で男性教諭が女子生徒に対して体罰に及び、あごがはずれるなど全治1ヵ月のケガを負わせたとしてニュースになりました。

 空手を通して、つまりは突いたり蹴ったりを教える以上、体罰の問題は避けて通れないところがあったりします。


ニュースリンク:高校ソフトボール部で女子部員に男性教諭が“体罰” あご外れるなどの重傷負う 翌日も… 学校側は謝罪「強化部なので…」

 昭和の世代なので、私の場合は体罰は日常的にあったように思います(特に中学校)。また親もそのような世代なので「うちの子はばしばしやってもらって構いません」と先生に予め許諾するような環境でした。

 そんな個人の体験と価値観はさておき予め結論を書くならば、「私は時と場合によっては体罰擁護派です」。こう書くとぎょっとされる方もいるかと思いますが、つらつら私見を書いておきたいと思います。


■体罰とは

 もしも体罰が絶対的に「悪」であるとするのならば、ここまで問題になることもなくさっさと根絶されているわけです。

 しかしながら、学校教育法において

11条「校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、文部科学大臣の定めるところにより、学生、生徒及び児童に懲戒を加えることができる。ただし、体罰を加えることはできない。」

 とされながらも、未だ問題になるというその構造に焦点を当てなければ問題の本質が見えてきません。

 文科省は「殴る・蹴る」などの行為は当然に体罰となるものの、機械的定義はできないとしています。条件や環境を考慮して、個々の事案ごとに判断する必要があるってことですね。

 そもそも「殴る・蹴る」という行為がそれだけで体罰であるのならば、私たち空手の指導員、特にフルコンタクト空手の指導員はある意味で日常的に体罰を行っていることになります。けれどもニュースに連日登場するわけでもなく、暖炉の境地に達したかのように炎上し続けているわけでもありません。その違いは何なのでしょうか?


■体罰の是非

 是非のような白黒ついたモノクロームで語れないことに、この問題の難しさがあります。少なくとも学校教育という場においては非とされていることは明らかです。

 ですがどうでしょう。肉体的苦痛を与えることが体罰であるとするならば、例えば警察官になるための警察学校はVIVA体罰ですし、おそらく消防や自衛隊などの公安系教育機関も同様でしょう。肉体どころか精神的にも追い詰めるわけですから。

 そういった場合は、肉体を無理やりにでも鍛えておかないと、自分の身すら守れないからという理由があります。特に公安系は自分を守るだけでなく、国民を守ることを使命としているので厳しく鍛えられる必要があり、そこでは体罰も黙認されています。(今は知らない)


■体罰の問題が表出した時点で非

 体罰が批判されやすいのは、暴力との境界線を容易に侵してしまう点に起因します。体罰はその目的が最終的に教育に置かれるのに対し、暴力は苦痛を与えることに目的が置かれる点において異なります。

 ただし、誤解してほしくないのは、体罰は教育を目的としている以上、心身に怪我を負わせないという前提を孕んでいることです。今回のニュースのようにあごが外れるようなビンタを施し、部活に来れないというのは、教育に目的を置いている体罰としては大きく逸脱していると言わざるを得ず、許されないものでしょう。


 空手では、「不必要な怪我を負わせない」という暗黙の了解の上で稽古しています。(私自身が未熟で誤って怪我を負わせてしまうことも多々あり、猛省の日々です)。少なくとも、「ムカついたからあごが外れるほど張り倒してやろう」などとは思っていません。

 けれども、なぜ構えでは「ガードを上げて!」としつこく言うのか。「正しく構えて正しい立ち方で!」なんて、毎回言うのか。頭を蹴られる衝撃も、急所を突かれたときの痛みや苦しさも、実際に知ることでしか「自分で守らなきゃ」という意識が芽生えません。


 痛さや苦しさを知るから、他者が何か暴力を振るわれていたとき、その痛みを共感することができる。だから守ろうと思える。そのときに、実際に他者を守れる力と技術を。

 その意味で空手では、まず何もできない自分を知ること、そして痛みや苦しさを知ることが第一歩になります。

 だから空手の稽古ではこれらを避けて通ることはできないのですが、それでも問題にならないのは指導員と門下生、あるいは指導員と保護者の皆様との信頼関係の上でだからこそ、です。

 初心者を壁に追い詰めても突いて蹴り続けたり、当たるとわかっているものを振り切るような組手をしていれば、誰もついてきません。

 その信頼関係を破壊する行動であって問題となった時点で、それは教育の範囲を超えていることの証左であり、問題が非と化す瞬間なのではないでしょうか。


■思うに

 男性が女子生徒に暴力で怪我を負わせた行為は当然に非難されるべきですが、その背景にも問題が潜んでいるのではないでしょうか。

 例えば、大学や実業団、あるいはプロへの進路がかかったような大事な試合であったとしたら。こういったチームプレーの場合、ユニフォームをもっているひとが出場できなくなることで、チームの歯車が狂うこともあるでしょう。

 私の父親がそうでしたが、スポーツ選手にとっては大会の成績が偏差値のようなもの。社会学でも時折とりあげられる高校野球においては、選手本人の進路、PRとなる学校、スポンサー企業の利害が一致した環境で、特殊な環境が作られていることは有名です。そしてその土壌は体罰を生みやすいということにも留意しなければなりません。


 極端な例でなくとも、例えば学校での学級崩壊。体罰が禁止され、教師側になすすべがないとすれば、少数の生徒のために、問題行動を起こす本人たちも含めた数十人の子どもたちの教育の機会が奪われることはどうなのか。人格が形成される大事な時期での普通教育の大事さを考えれば、他に方法がないのんだとすれば、体罰に頼ってでもその機会を守ってほしい。そう思う人も少なくはないでしょう。

 そういったことを考えると、この問題の深さにあたることになります。

 空手、特に直接打撃制(フルコンタクト)の極真空手においては世間で言われる体罰と誤解されかねないこともあります。けれども、それは門下生のことを想い、必要だと判断したことを合理的な方法と範囲内で、怪我をさせないようなコントロールで。

 もし同じような要件を満たすのであれば(学校教育で合致するのかは疑問だが)、構わないと思います。


 空手であっても、それが暴力としか思えないようなことをやっている道場はたくさんあります。なぜ知っているのかというと、「こんなにエグいんだぞ」と誇らしげにネットに動画をたくさん載せているからです。


 はたから見たらリンチとしか思えない昇段審査の連続組手。なぜ批判される昇段審査の動画がある一方、私たち門馬道場の昇段審査は数十万回再生され、海外の人たちの胸を打っているのか。そこに暴力とそうでない武力との違いがあります。

 ぜひ道場の稽古や、実際の門馬道場の雰囲気を観てみてください。



 長男の小学校でカルチャーショックだったのが、先生が生徒を「〇〇さん」と呼ぶことでした。男女関係なく、みんなさん付けです。

 極真空手の場合、昔から道場では下の名前で呼ぶ風土がありました。それは親しみの表れでもあり、普段の関係があるからこそ、ときに厳しい修行をも師弟関係の信頼で乗り越えてきた強さがあるのではないでしょうか。

 許されないのは理不尽な暴力であり、それは体罰という名目だろうが、教育的指導という名目であろうが変わりません。とはいえ、私自身がまだまだ未熟であるので、思わぬ怪我や、怪我をさせなくても不愉快な思いをさせて道場に来れなくなったり、なんて失敗もあります。

 今回のこの先生がどうだったかは私にはわかりませんが、日々自戒と精進で、みなさまに信頼して預けていただける道場にしなきゃな。そう思いました。


※2022.10.20追記
一部、誤解を招きかねない表現がありましたが、極真空手はフルコンタクト空手なので、実際の試合では全力で突き、蹴りを出し、実際に当てる直接打撃制の空手です(いわゆるKOルール)。

そのため、組手の稽古では、指導員含め、実際に突き合い、蹴り合いします。しかし、そこではお互いに不要な怪我を負わせないよう、性別、年齢、実力等、相手に合わせてコントロールした上で出し合い、始まる前、終わった後には必ず挨拶をし、お互いに尊敬と感謝の気持ちで行っています。突き・蹴りがそれだけで体罰というならば、私たちのこの空手、稽古もそうなのか?私たちはそうは思いません。今回の事件と私たちの稽古における突き・蹴りの応酬は、何が違うのか?をテーマとして記述しています。





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