2022年11月2日水曜日

演武についての覚え書き

 演武がどれだけ貴重か。それを知っている自負があります。

いや逆か。正確に言うならば、門馬道場が恵まれすぎていて、その貴重さを知らない人が多い。


空手の修行歴を振り返ってみても、演武というものはとても貴重でした。熊本時代に演武をみたのは師範・先輩方がやったものが一回、松井館長の演武が一回。東京時代では、地元の一橋大学での大学祭演武が2回ほど。それくらいでした。


空手というと瓦割り。そんなイメージだけは一般にも定着しているかと思いますが、実は実際にそれをみたという人も、挑戦したという人もほとんどいません。当時、ワールド空手という情報誌で、各支部・道場の演武の報告が載る。それくらいの行事だったので、私自身、バット折りなんて数えるほどしか観たことがなかったのです。


手探りではじめたころ。当時はマスクとかもなかったですね。


それが門馬道場に来て、衝撃を受けました。演武の経験がとてつもなく豊富だったのです。

いまでこそ、ですが、当時はもちろんバットなど折ったこともありませんでした。いわゆる折れやすい「試し割り用バット」すらも経験しないまま。


「門馬道場では試し割り用使わないから」という一言で、スポーツ店で購入してきた野球用バットを抱えて「ほんとに折れるのかよ…」とどきどきしていたことを思い出します。


指導員の先生たちももちろんですが、門下生のみんなもすごかったのです。基本的に演武の練習といったものはしないので、その場で指示を聞いて覚える。あとは道場でやっていること通りのことをやる。それだけで見ている人たちからは歓声が上がるのです。

とはいえ、門馬道場に来て間もないころは私の認識も甘かった。特に菜穂子先生について勉強させてもらっていた期間は、地域や所属関係なく、道場の演武にはほぼ全て付いていかせてもらいました。


それからしばらくして気付いたのです。門馬道場としての演武はとても実績があるけれども、地域によってばらつきがある。


例えば何か行事があるとき。そのステージの一環として何か催す中で、「空手の演武」が選ばれる確率がそう高いわけではありません。加えてその中でさらに「門馬道場にお願いしよう」となるためには、地域に根差した道場でなければならないのです。


私が佐倉道場の担当になった当時、県北では演武の機会がそう多いわけではありませんでした。やはり師範のいらっしゃる矢吹本部やイベントの多い郡山に比べて、門下生もほとんど経験がありませんでした。

「せっかく演武に積極的な道場でいろんな挑戦もできる。だからなんとか経験させたい」


けれど地域に根差して依頼を受けるのを待っているなんて、一朝一夕に実現できるものではありません。また余所者、市内に住んでいない自分にそれができる器かどうかなんてわからない。


そこでいろんなイベント情報を調べて主催者に問い合わせしたり、保護者の方から仕事の関係で催しを教えてもらったり、逆に「空手の演武、いれてみませんか!?」と提案する方向に舵をとりました。そんな中で私がたどり着いたのが「自分たちで主催したらいいんじゃないか?」という形だったのです。


依頼された演武では、一回の演武につき板5枚を使用できます。だいたい、初めて試し割り挑戦する門下生が2名、上級の先輩が3名くらいで高度な技での板割りを披露します。


となると一回の演武で試割りを経験できるのが5名ほど。けれども主催すれば、希望者は全員挑戦できる。その経験値は計り知れないものになります。



チャリティ演武はコロナ禍での取り組みと思われているフシがありますが、実はコロナ禍になるもっと以前から開催しています。


コロナ禍で県大会が中止になってしまったとき。当時は、陽性になった人の行動履歴がニュース報道されるような厳しい環境でした。そんな状況下でも演武を好意的に受け入れてもらうにはどうすればいいか。そう考えて、板一枚の購入につき寄付金を出してもらう、というチャリティ形式での開催に切り替えました。


おかげで当時もいまも、「こんな中で大声出す演武なんてするな」なんていうクレームも一度もなく、いろんな方が足を止めて演武を見てくださっています。



これまで、仕事を通して「1を100にするより、0から1を生み出す方が難しい」ということを実感していました。それをなんとかしなければと思い「0から1を出す方法」を勉強しました。

でも1を100にすることだって、とても難しいことなんです。そこは恵まれている点で、門馬道場が強固な絆と高い意識で100どころか200にも1000にもしてくれます。


今では最大の参加者を誇る郡山地区の主催演武や、いろんな道場がひしめく県南地区でも主催演武を開催する流れになりました。はっきりいって、私が他の空手道場の立場だったら、相当苦々しく思っているに違いありません。


空手の先生であっても、門下生たちの前のような内輪で披露する場合は別として、純粋に空手とかかわりのない人たちの前で演武を披露したという人は決して多くはないでしょう。そんな中で、こんなにも演武を身近に感じ、そしてどんな挑戦も許容してくれる環境は滅多にありません。


自画自賛な感じも否めませんが、ある意味で画期的なアイデアだったと自負しています。が、その反面の反省点もあります。それは演武が身近になり過ぎたということ。


門馬道場にいると演武の機会がたくさんあります。でもそれは、門馬道場が地域に根差して認められてきた証。師範であったり先輩たちが築き上げてきた地域からの信頼なのです。だからそれを当たり前だとは思わないでほしいし、もし門下生のみんなが空手を続けるのであれば。挑戦するものは板から始まり、角材やら瓦やらバットやらとどんどん難しいものになっていくでしょう。


門下生同士や試合では試すことができないのような思い切った技の威力を、実際にぶつけて試すことができる。そしてその迫力にこそ、観た人は魅了される。その経験は、必ず貴重なものになります。


コロナ禍になり、マスク着用しての演武に。


かつて極真空手の全日本選手権では勝ち進むと「試し割り」という種目がありました。(今もあるかも)。正拳・手刀・猿臂・足刀で割れた枚数を記録する。その後の試合で体重判定でも差がつかない場合は、試し割りで割った枚数の多い方を勝ちとする。というくらい、重要視されていたものなのです。


演武は初級者にとっては挑戦する場であり、上級者の演武を見て学べる機会。上級者にとっては自身の技術・技の威力を試せる場であり、それを観客のみなさまや後輩にみせることができるかどうかを問う場です。その一方で、参加者をとりまとめたり、幼い門下生のお世話をしたり、先輩としての自覚が養われる場でもあります。


そして指導員にとっては、門下生の稽古の成果を、観客だけでなく保護者のみなさまにも披露できる場。三者三様のものでそれぞれ目的がありますが、門下生にとってだけではなく、道場そのものが地域に認知してもらえる場でもあり、どの角度からどこをとっても重要であることが分かります。


いま、緑帯や茶帯を締めている先輩たちは、この主催演武が始まった当初からずっと参加し続けてくれた先輩たちです。その演武慣れは決して「上級の帯だから」ではなく、上級の帯を締めるまで幾度となく演武や合宿、試合の場を経験してきたから。


なので、いまや皆様にとってありふれた恒例行事の一つとなった主催演武ですが、それはそれで一つの到達点かと思う一方、その意義を改めてご認識いただければ幸いです。


上級の先輩たちは、大会や合宿に積極的に参加してきた門下生たちですが、演武にもまた積極的に参加してきた人たちばかりです。

師範から伺った言葉、「門馬道場は演武でここまでやってきた」。その言葉があったから、演武の経験の豊富さに納得もしましたし、空手の修行の一環として大事にしなければ。そう思ったのを覚えています。

師範が大事にされているものならば、弟子たる私たちもまた大事にしなければならないし、その意味を考えなければなりません。


今年の県北地区主催チャリティ演武は

11月23日(水・祝)13時から、JR福島駅東口広場にて。


今年も少し肌寒い時期の開催となりましたが、万全の対策で臨みたいと思いますので、主催である演武に一人でも多くのご参加よろしくお願い申し上げます。







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福島県の極真空手なら!
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【福島佐倉道場】 火・土 19:00~20:30
         土 15:30~17:00
福島市佐倉下上谷地39-1

【福島霞町道場】 木   19:15~20:45
NCVふくしまアリーナ

ほか県内全域に道場あります!!

TEL:0248-42-5335

国際空手道連盟極真会館
世界総極真
NPO法人極真カラテ 門馬道場

師 範 門馬 智幸
指導員 山名慎一郎
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