職場の病院、リハビリ室からは福島競馬場を一面に望むことができます。
膝の手術後、毎日お世話になっており、ぼーっと競馬場を眺めることも多々ありました。
さて、道場内限定ということで昇段審査のダイジェスト動画を公開しました。昇段審査ごとにカラーがありますが、今回の昇段審査もとてもいいものでした。ちょこちょこ小ネタ解説していこうと思います。
動画をまとめるにあたって撮り溜めた動画素材や写真を眺めていたのですが、やっぱり自分がフォーカスしたのはいいな、残したいなと思ったものが多かったです。
昇段審査は審査そのものが過酷なのはあるのですが、今回のよかったところは、個人の審査ではなく5人で乗り切った審査でもあるということ。
円陣から審査の動画がスタートするわけですが、写真でもわかるかと思います。初めての昇段審査なので不安なのは当たり前ですが、その受審者たちをまとめて、また自身も両足がつってしまったり、骨折の影響から片足で帯飛びを飛んだり、大きな背中で引っ張っていったのは柊太先生でした。
動画では常に受審者たちと一緒にいる写真が印象に残っているかと思います。
統河先生。自身の過酷な審査でありながら、常に小さく幼い門下生に寄り添っていました。号令かけながら指で教えたり、時にはそばについて手取り足取り教えたり。自分のことでいっぱいいっぱいのはずですが、そんなときでもしっかり後輩に寄り添える姿はまさしく先輩で、唯愛先輩も同じく門下生に気を配りながら審査を進めていました。
常に強気で、前向きでムードメーカーだった樹唯先輩、78歳という高齢ながらもしっかりと稽古の成果を披露できた箭内さん。その箭内さんをしっかり支えるためにみんながまとまった、という見方もできるかもしれません。
型のとき、補強の時。常に隣で、箭内さんを見て励ましながら審査に取り組む柊太先生の姿が印象的でした。
実を言うと。
このダイジェストはつくるつもりはありませんでした。昇段審査の動画は作るつもりでしたが、このダイジェスト版は、唯愛先輩への個人的な昇段のお祝い・記念として作るつもりだったで、佐倉道場でも時折カメラを回していたのです。
でも審査を見ておもったんですね。この姿は残しておくべきだ、と。
昇段審査なんて個人の力量や成果を見るためなので、是非を別にして他の受審者なんてほっといたって構わないんです。でも、門馬道場でそんな先輩はいません。常に他人のために本気になれる人たち。
自分の身を挺しても手を差し伸べることができる。そこに損得感情なんてない先輩たちばかりなんです。
だから、これはみんなの分を残そうとまとめました。
ということで、女性向けの選曲で用意していましたので、そこはもうご愛嬌ということで笑
門馬道場、「馬」ということで、ウマ娘の楽曲から使用しました。
また、最期の連続組手シーンは実際の競走馬たちのキャッチコピーを使用しています。
鈴木唯愛先輩
「本当の敵は、諦めだ。」 (スペシャルウィーク)
負けに負け、全く勝てなかった時期を乗り越え、勝ちを掴めるようになった彼女がついに昇段審査に挑戦する。このフレーズしかないと確信していました。身近で観てきただけに、なおさら。
角田樹唯先輩
「瞬きすら許さない、(3つの)プライドの激突。」
(ウイニングチケット)
体格的に小柄な樹唯先輩。でも審査を観ていた方は、気づいたでしょう。身体はぼろぼろになっても最後まで気迫で立ち続け、向かい合い、打ち合ったあの姿。まさにプライドで立ち向かった連続組手でした。
箭内孝之先輩
「その戦いに、人はユメを見る。」(テイエムオペラオー)
テイエムオペラオーは2000年の年間無敗記録とグランドスラムを達成した馬です。勝ち続けるとすべての馬が敵になる、なんていうかっこよすぎる言葉からはじまるフレーズなのですが…。
自分が78歳になったとき、空手着に袖を通すことができているだろうか。蹴りができるか突きができるか、なんて些末なことでなく、何かに夢中になり続けていることができるだろうか。ひとつの夢をみさせてもらったので、このフレーズを選びました。
大住柊太先生
「天才はいる。悔しいが。」(トウカイテイオー)
以前、ブログで天才って言葉はきらいだということを書きました。今でも嫌いなわけですが、それでもなぜこれを選んだか。
私たちが(その努力や苦悩をスルーして軽々しくも)柊太先生を空手の天才のひとりだと思っていたとしても、その柊太先生にも「天才だ」と思っている選手がいるはずで、そのうちの一人が20人組手の最後を務めてくれた日下部尚人先生だと思います。そこに向かっていく、気迫に満ちた表情は動画の中でも印象に残っているのではないでしょうか。二重の意味で、このフレーズを選ばせてもらいました。
鈴木統河先生
「僕らは一人では強くなれない。」(エルコンドルパサー)
柊太先生とはまた対照的な内弟子の一人、統河先生。柔和なイメージは前回の黒帯紹介の動画でも伝わったと思いますが、周りの人がいるから、辛いことも乗り越えられてきたという姿が印象的でした。
いつも涼しい顔して辛いことも淡々とこなすイメージですが、その裏で、実はけっこうかわいかったり笑 また、すごく感謝の気持ちをもっているんだなってことを知ったので、このフレーズを選びました。
柊太先生&統河先生
「宿敵が、強さをくれる。」(タマモクロス)
本当のフレーズは「宿敵」だったのですが、動画では意味合いを考慮して「好敵手(ライバル)」と変えさせていただきました。
このことばは、もう説明の必要もないでしょう。
ということで一日がかりの5人の先生・先輩たちの昇段審査をぎゅっとまとめましたが、伝えたいことはいつも伝えられないし、なかなか理解されることもないのが世の常です。
そんな生きづらい世ではありますが、言葉よりも伝わる何か、が必ずあると思いますので、ぜひご笑覧ください。
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