J・S・ミルの「大学教育について」の中でこんな一節がありました。
芸術家にとって線画とデッサン(点画だったか?)どちらを重視すべきか?という論争があればそれは不毛で、どっちも大事に決まってるだろと。(意訳)
知っている方が強い、は社会での鉄則であり、常識でもあります。知っていると強い、その反対は知っていないと弱いではなく、知っていないと何もできない。それが教育という分野になれば、なおさらです。
6月18日に郡山ビューホテルアネックスにて、医学博士の鈴木先生をお招きして、
「発達障害児の発達とスポーツ:特性に応じた指導における留意事項と鍛錬による不適応行動の改善」が開催されましたので、受講させていただきました。
大学の講義を思い出しました。なんとなく。 |
冒頭の例で言えば、空手を格闘技として教えるだけならば、稽古さえしていればいいのでしょう。しかし…
さて、世の中、特に私たちの国は少子高齢化が叫ばれ、日々出生数が取り沙汰されます。公教育機関も統廃合され、より顕著にその流れを感じるようになりました。
いわゆるZ世代はデジタルネイティブですが、さらにAIの発達などにより大きな潮流のさなかにあります。
これから先は義務教育の内容なんてものは各自が家で動画でもみながら学習できるようになるでしょうし、その意味での教師の役割は大きく変わっていくしかありません。
特にこれからは個性に応じた、少数制の教育の重要性が高まっていくことは想像に難くありません。
そんな中、今回の貴重な学びの機会を頂いたので参加してきました。ADHD、発達障害、多動なんていろんな言葉が身近になってきたような昨今ですが、正直その特性も違いも、そういった症状のある人がどのように感じているのかも理解できていなかったのです。
概要をわかりやすく説明してくださり、それぞれの特性、接し方、禁忌などをレクチャーしていただけました。とはいえ。
それで全てが理解できたわけでも消化できたわけでもありません。例えば、「頑張ればできる!」なんていう言葉もとある症状の人には禁句だったりするとのことですが、空手道場としては、武道を教える道場としては「頑張らなくていいんだよ」とは言えない。
反対のことを言えば、それは武道という崇高な自国の文化を商売道具のように扱ってしまうことになりますし、禁句だから言えない、ではなくそこを理解できるように他の人と同じように頑張っていこう、というのが道場のスタンスであったりするわけです。
その一言で大きな誤解や、門下生を傷つけてしまうこともあるかもしれません。
ということで2時間に及ぶ講義を拝聴し、そのあとも日付が変わるまでいろんな話を、医学博士という専門的な見地から伺うことができました。が、むしろ「じゃあ、どうやって指導していこう?」というところになると、答えに窮するのです。
終了後、素直に言いました。
講義は聞いたし、ある程度理解もできました。でも正解は、いまだ分からない。道場として教えるべきこと、症状として留意すべきこと。そのどちらも大事だから、今の自分に「どうすべきか」という答えはわからない。
だからそ、大事なんだと思います。常にその疑問を持って、二律背反の中で門下生と向かい合い続けるということが。
大きな学びの機会を下さった八洲学園の鈴木先生、中村先生。そして門馬師範、貴重な機会をありがとうございました。
また佐倉道場からは指導に携わる先輩として、鈴木唯愛先輩、齋藤真尚先輩、安部玖瑠美先輩、鈴木凜先輩が参加してくれました!!みんな、おつかれさまでした!
振り返るべきところを振り返り、反省してまたこれからも道場の発展に尽くせればと思いますので、みなさんのご指導ご鞭撻、どうぞよろしくお願いいたします。
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